国分寺市は、水道水の約55%が地下水です。また、真姿の池などの湧水や、江戸時代に農業用に玉川上水から引かれた用水が一部残っているなど、自然の水に恵まれたまちです。しかし、都市化によってその水も安泰ではありません。命に欠かせない水を守るために、地下水・湧水・用水を保全するための条例が必要です。
4月に市民活動団体が開催した学習会「水循環のあるまちづくりフォーラムⅠ」では、水を守るための方策がたくさん提案されました。まず、水辺は生き物の生息場所として重要であるばかりでなく、人の生活に潤いをもたらすとして、三面がコンクリートで固められている野川を自然の状態に再生することの大切さが述べられました。また小金井市が積極的に雨水を地下に浸透させる施策をとってきたことから、下流にあたる地域では井戸が涸れなくなったといわれています。地下水保全の広域的な取り組みが必要です。
また、防災の視点から「非常時に本当に困るのは生活用水」として、企業、学校、農家などの民間の井戸との災害時の利用協定の必要性が訴えられました。阪神淡路大震災の体験より、飲料水は自治体の備蓄分の他、スーパーなどで何とか確保できたが、トイレや洗濯に使う生活用水が大変で、これが確保できないと、自宅が倒壊していなくても避難所に行かざるを得なかったなど、貴重な報告がされました。 国分寺市、そして多摩地域の水循環を豊かにするために、雨水を地下に浸透させるための緑地の保全や雨水浸透ますの設置促進、また、水脈分断など水に影響する開発の規制が必要です。そして、用水路や野川など水辺の再生をすすめ、市の「緑の基本計画」の副題“水とともにいきるまち・こくぶんじ”を名実とともに実現させたいと思います。 (高瀬かおる)