生物多様性の目線でまちを見直そう~絶滅危惧種は国分寺にいる 講演会より~
10月22日(土)、講演会「絶滅危惧種は国分寺にいる 身近な生物保全の最前線」を西国分寺にある都立公文書館と都立武蔵国分寺公園で行いました。講師は、久保田潤一さん(NPO法人birth 自然環境マネジメント部長)。久保田さんの所属するNPOは、都立武蔵国分寺公園の運営を行っています。
久保田さんの講演は、公文書館で1時間、映像も交えお話しをいただきました。
国分寺市の最大の特徴は崖線があること、企業などがもつ崖線の樹林と湧水も自然の保全に貢献している。草地を含む緑の連続性を持った街づくりが望まれると今後の取り組みに希望が持てるお話しに元気をいただきました。
また、生物多様性をはばむものは、①開発 ②外来種 ③自然に対する働きかけの縮小 ④温暖化。国分寺崖線があることで、残ってきた緑、まち全体をネットワーク化し、水と緑のまちをこれからも守っていく戦略と行動計画が必要とのことでした。具体的には、柵の下を空間にする、直線のセメントを斜めにするなど、生物の動線を意識した設計にすることで、ヒキガエルや虫の移動を可能にし、生態系の循環が守られるとのこと。都市開発計画においても生物多様性をまもる視点で見直してみることも必要なのではないかと思いました。
その後、会場に隣接する都立公園武蔵に移動。噴水池とバッタランド周辺に移動し現地で説明を受けました。池は島当初コンクリートの池で毎年生まれても全滅していたそうです。そこで、カルガモのヒナを救うために野川公園の水草の種を含む土をプランターに入れて水草生える島を作ったり、カルガモ親子の引っ越しのためのスロープ状の岸辺を作り育雛に成功するようになったとのことです。最近では、井の頭池からかカイツブリが飛来し、営巣、ヒナが成長する姿をみかけることができるようになったとのことです。当日もかわいらしい姿を見せてくれました。
都立公園と隣接して、国分寺市役所新庁舎が建設中です。新庁舎の多目的広場と都立公園とが、連続性を持った生き物の流れができるよう連携して取り組んでほしいものです。
【講演会】
「絶滅危惧種は国分寺にいる 身近な生物保全の最前線」
2022年10月22日(土)10時~12時
講師 久保田潤一さん (NPO法人birth 自然環境マネジメント部長)
*NPObirthは都立武蔵国分寺公園の指定管理者として運営受託しています。
*久保田さんは、かいぼりをテーマにした人気番組の監修もしています。
(著書 「絶滅危惧種はそこにいる 身近な生物保全の最前線」)