第4回定例会~社会経済状況の先行きが不透明な今この時期に2年連続で国民保険税率を上げることに反対
社会経済状況の先行きが不透明な今この時期に2年連続で国民保険税率を上げることに反対しました
2023年第4回定例会が閉会しました。生活者ネットワークは、国分寺市国民健康保険条例の一部を改正する条例について小坂まさ代が反対の立場から討論をしました。
議案第97号 国分寺市国民健康保険条例の一部を改正する条例について、反対の立場から討論いたします。
本案は令和6年度以降の国民健康保険税の所得割額と課税限度額の改定に加えて、健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴い、産前産後の国民健康保険税の軽減措置を行うというものです。
まず、現在の国民健康保険制度は高齢者が多く加入し、一人当たりの医療費が増加する一方、被保険者の所得水準が低く、保険税の負担率が高いという構造的な問題を抱えているなかで、国は国庫負担を減らし続けています。財政運営の責任を都道府県に委ね、都道府県は市区町村ごとの納付金を決め、国庫負担の減少を保険者である地方自治体が補わなければいけないという甚大な課題を抱える現在の制度の中で、市は決算補填等を目的とした法定外一般会計繰入金を国保会計に投入していますが、一般会計から繰り入れせざるを得ない状況を作り出しているのは国の制度の問題であり、国が改善に向け、責任を持って取り組んでいくべきであると考えます。
現在、本市の所得割率及び均等割率は、都が示す標準保険料率よりも26市の平均よりも低い水準にあり、都からは赤字とされる法定外一般会計繰入金を解消、削減することを求められていると委員会で報告がありました。また1人当たり保険給付費の増額と後期高齢者支援金の増額により、被保険者数が減少しているにもかかわらず、事業費納付金が増額となっていること、令和3年度から令和4年度には1億9,600万円以上が納付金増額となり、それに伴い、法定外一般会計繰入金も1億8,000万円以上増額したという状況についても説明がありました。保険者における医療費適正化の取組状況や実績を点数化し、それに応じて交付金を交付する「保険者努力支援制度」においてマイナス評価を受けることへの影響など、様々大変厳しい状況にあることは理解をしています。
しかし、医療が市民にとって大変重要なセイフティネットであることや、もともと国民健康保険が所得水準の低い被保険者から構成されており特にコロナ禍の影響を大きく受けたこと、また、海外情勢等に起因する食料品、原材料、エネルギー等の物価高騰が続き、この物価高騰がいつまで続くのか不透明な今この現状においては、より慎重に判断する必要があると考えました。
コロナ禍に始まった住宅確保給付金の特例措置や社会福祉協議会の緊急小口資金等の特例措置や無利子無担保の特別貸付などが終了し、令和5年1月より償還や返済が始まっており、「この物価高の中とても生活が厳しい」「働いても働いても生活が上向かない」との悲痛な声が自営業の方を中心に聞こえてきています。また、低所得世帯に対しては、給付金による支援や、国保会計でも保険税の軽減措置が取られているものの、現在、生活が苦しいと悲鳴を上げているのは、低所得世帯だけではなく、中間層の特に多子世帯に及んでいます。
昨年と今年の国保事業の運営に関する協議会に出された資料によるモデルケースを見れば、40歳前後の夫婦と15歳12歳2人の子どものいる世帯、所得約450万円の年間保険税額は、均等割りは据え置きになったものの、令和4年度446,100円、令和5年度492,700円、令和6年度528,500円と2年間で約18.5%82,400円もの大幅な負担増となり、社会経済状況の先行きが不透明な今この時期に2年連続で保険税率を上げることは、非常に厳しいと考えます。
今回同時に提案された産前産後の保険税の減免については賛成ではありますが、熟考を重ねた結果、所得割額の改定については賛成しかねることを申し上げ、反対の討論といたします。