誰もが希望を持てるまちへ~高瀬かおるが令和5年度予算に対する賛成討論を行いました~

3月24日、国分寺市議会第一回定例会が閉会しました。国分寺・生活者ネットワークは一般会計予算に対して高瀬かおるが賛成討論を行いました。


議案第1号、令和5年度国分寺市一般会計予算について、無会派(国分寺・生活者ネットワーク)を代表しまして、賛成の立場で討論をいたします。

まず初めに、委員会審査のため、多くの資料の作成や準備などに当たられました職員の皆様方の御尽力に心より感謝申し上げます。

さて、3年にわたって猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症は、本年5月8日から、季節性インフルエンザなどと同じ5類へと移行されることになりました。この間、人と会うことが制限され、昨年2月24日に始まったウクライナ侵攻も相まって、不安定な社会情勢や経済状況が続くなど、厳しい時間を過ごしてきました。

そのような中、令和5年度一般会計は、総額約561億円、対前年比では約57億円増(11.4%)となり、当初予算としては、過去最大規模の予算編成になっていますが、その内訳をみると、新庁舎建設における事業費(38億円)や、浅川清流環境組合における公債費の償還に伴う負担金の増が主な要因としてあげられ、歳入で言えば、市債が前年度比132.4%と大きく伸びています。また、財政フレームでは、今後予定されている(仮称)リサイクルセンターの建設や、公共施設等マネジメントなどを試算すると、基金残高は、2022年度末の136億円から2028年度末には、54億円まで減少する見込みとなっています。しかも、リサイクルセンターについては、今回は解体までの算定ということですので、今後さらに大きな建設費が加わることになります。令和5年度の経常収支比率や自主財源の割合、公債費未償還額や基金残高なども含めて総合的に考えると、財政は硬直傾向にあり、決して楽観できる状況ではありません。次世代につけを残さない財政運営が重要と考えます。
令和5年度は、関東大震災から100年の年でもあり、災害に備える新たな事業が提案されたことは評価しつつ、いつ起きてもおかしくない災害時にも使える財政調整基金30億の確保に努めていただくよう求めます。

本予算では、個人市民税について、雇用環境の回復と納税義務者数の増加を要因に、5億6800万円の増額を見込み、市全体では、少しずつ落ち着きを取り戻しているかのようにみえます。けれども、物価や燃料費の高騰は続き、新庁舎建設のインフレスライドからもわかるように、市の財政にも、市民の生活にも大きく影響しています。このことからも、特に生活に困窮しがちな社会的に弱い立場にある、非正規雇用の女性やひとり親世帯、若者たちの暮らしを、また、中小事業者の経営状況を、意識的に継続して把握していく必要があります。この点、強く求めておきます。
また、さまざまな困難を抱えながらも就労の意欲のある方が適切な就労につながるように、自立生活サポートセンターと本格的に始まる重層的支援体制が連携し、生活困窮者就労準備支援のあり方について検討することを求めます。

市では人口が増え続けていることもあって、高齢化率は、ほぼ22%の横ばいが続いていますが、人口の増え幅を見ると、令和2年が1692人だったのに対して、令和3年には930人、令和4年には446人と、この2年間は縮小傾向です。
特に、2025年には、団塊の世代の皆さんが後期高齢者になられることを考えると、後期高齢者人口の推移を見ていく必要があります。
これらの人口の推移とかかわって、注視しなければならないのが、保育や介護、教育の現場や、バスやタクシー事業などの、いわゆるエッセンシャルワーカーの人材不足だと考えます。教員をサポートする体制や介護現場での移乗支援ロボットの導入、また事務量軽減への支援などが、予算計上されていますが、抜本的な労働環境の見直しが必要と考えます。特に介護報酬や介護従事者の処遇改善については、介護保険制度の財源割合の性質上、保険料や利用料にも影響してきます。教育や、子育て、介護を支える人材確保と育成が、ひいては私たちの生活の質を向上させ、安全・安心につながります。対策を国や東京都に強く働きかけると同時に、市としてできる支援策をさらに強化していただくようお願いします。

 

続いて、個別事業ついて、何点か申し上げます。

① まず、地下水に含まれる有機フッ素化合物についてです。
市民団体が行った血液検査の結果報告が報道されたことを受け、市民の不安が広がっています。科学的な根拠や医学的な影響を明確に示すことができないだけに、健康への不安が大きくなっているのだと思います。知ること、わかることが基本です。また、農産物の買い控えという影響も出ています。国が農産物の検査をするという話も聞きますが、国分寺が大事にしてきた、都市農業を守る観点からも、使用されている井戸の検査をし、必要なら水道水に切り替え、水道代を補助するなど、今できる有効な対策が必要と考えます。

そして、市としては、むかしの井戸の検査をするなど、実態把握に努めています。とても大事なことと思っています。国や都の動向も含め、正確な情報発信によって、市民の不安を少しでも払しょくするよう努めていただくよう求めます。
3月14日には、アメリカの環境保護局が、初めて飲み水の規制値案を発表し、その数値は、PFOSとPFOAそれぞれ、4ナノグラムと大幅に厳しくし、この数値を採用するかどうかは、年内に決めるとの報道がありました。市民の皆さんからの問い合わせが増えることも想定できます。丁寧に向き合っていただくようにお願いいたします。

② 不登校支援について。小中学校における不登校児童生徒は、小学生62人、中学生114人
となり、平成27年度と比べると中学生約2.1倍、小学生は4.4倍にもなっています。トライルームひかりとほんだの二か所で学習支援を行っていますが、令和5年度のトライルームに関する予算は約157万円で前年度と全く変わっていません。担当の指導員は配置されていますが基本的には自習を中心としたカリキュラムの為、低学年の児童に対する対応が難しいという課題もあります。また、ひかりからもほんだからも遠い児童は保護者が送迎をする必要があり、就労していると通わせることができないという声も聞かれます。不登校支援については、専門職の支援体制もありますが、行き届いているとはいいがたく、相談体制の拡充とひとりひとりに寄り添った対応を求めます。そして、これだけ多くの子どもたちが通えない現状が続いていることから、学校側が変わっていかねばならないところもあるのだと考えます。市教委としてすべての子どもの学びや育ちに責任を持った対応をお願いいたします。

③ 特別支援教育について。小学校の特別支援教室については前年度比約3500万円増、
クラスアシスタントを8名増員するとのことです。通常級でのサポートが必要な児童に、発達や障害に理解のある方の配置をお願いいたします。また東京都の運営ガイドラインが令和4年度から実施となり、指導期間が原則1年とされ、不安を感じている児童や保護者が多くいます。共に状況を振り返り、支援教室での学びが必要とされる児童には、引き続きの対応を求めます。

④ 幼稚園の預かり保育について。2019年の幼児教育・保育の無償化に伴い、無償化の対象
になりましたが、利用するためには就労、求職、妊娠出産、疾病、介護など「保育の必要性」の認定を受けねばならず、「新2号認定」の申請が必要となります。令和4年度、市内在住で幼稚園や認定こども園に通う児童は、1397人で、そのうち、新2号認定を取った方は340人、市は就労しながらも保育園ではなく幼稚園に通わせているご家庭が増えていると認識しているとのことです。この制度については認定の際に説明をしているとのことですが、周知が行き届かず利用できていない保護者の方もいます。園側の受け入れ態勢にもよりますが、支援が必要な方に情報が届くよう、園による説明や行政側の分かりやすい周知の工夫をお願いいたします。

⑤ 図書館について。令和5年度の資料費は前年度比151万円増の2517万円で市民一人
当たりの換算は196円となりました。前年度の185円から微増したものの、近隣する小平市247円、小金井市370円、国立市321円と比較して低い数字です。また、視覚障碍者への対面朗読などの取り組みを評価する一方で、満席が続き抽選となることも複数回あった託児サービスは、現状維持のまま拡充が見られなかったことは、非常に残念に思います。また市境に住む方が利用しやすいよう小金井市との相互貸し出しの協定を早急に結んでいただくことを求めます。図書館を市民の知的インフラや情報のプラットホーム、コミュニティーの学びの拠点としての視点でとらえなおす必要があると考えます。

他に、医療的ケア児コーディネーターやヤングケアラー・コーディネーターの配置、重層的支援体制の本格実施に向け、地域福祉コーディネーターの増員が提案されましたが、これらのコーディネーターがそれぞれの役割りを十分に果たせる体制づくりが重要と考えます。関係機関との有効な連携を図り、複雑化、複合化した困難を抱える世帯が、地域とつながりながら安心して暮らせるように支援をお願いします。

 

以上、何点か指摘させていただきましたが、物価や光熱費の高騰が続きます。市民や事業者の状況を的確に把握し、必要な支援策を講じながら、2022年第3回定例会の一般質問でも提案しましたが、空き店舗、空き家の活用に力入れていただき、アフターコロナの社会を市民との協働で、より豊かに築いていくことを求め、賛成の討論といたします。